今年(2025年)に入ってから、GoogleAppsScript(以降「GAS」)でちょっとした業務を手軽に自動化しています。
日次処理の自動化などを複数作成し、いくつかの業務で手間を減らすことができました。
しかし、「これは便利だけど、このまま本格運用するのは難しいな…」と感じる場面も多々ありました。
今回は、実際にGASを使ってみた経験から得た“学び”と“限界”について、共有したいと思います。
学び①:GASは「試作」や「実験」に最適
![]()
(上記画像は、GASのエディタ画面です)
GASの最大の魅力は、「思いついたアイデアをすぐ形にできる手軽さ」です。
社内の申請フローや、日報の集計、フォーム回答の自動処理など、まずやってみるという段階では非常に相性が良いと感じました。
例としては…
・Googleフォームに回答があったら、自動でスプレッドシートに整形&通知
・WBS(スプレッドシート)から本日分のタスクだけを抽出して日報に転記
・SlackやLINEへの簡単なリマインダー通知連携
といった「軽めの自動化」では、GASが非常に強力な味方になります。
学び②:「試運転向き」だが「本格運用」には向かないことも多い
![]()
(上記画像のとおり、htmlも記述できます)
ただし、作っていくうちに見えてきたのが、GAS特有の制約や不安定さです。
特に以下のような状況では「これ以上の拡張は難しい」と感じました。
● 実行時間の制限
GASには1回あたりの最大実行時間(約6分)や、日間の呼び出し制限があります。
処理対象が多くなったり、複数人が同時に使うとトリガーが失敗する/処理が途中で止まるといった現象が発生します。
※GoogleWorkSpaceはまた別です
● 処理速度が遅い
GASの処理はサーバ側で順次実行されるため、大量のセルを扱うと非常に遅く感じます。
1セルずつループで処理 → 数百件でも数十秒
VLOOKUPを模した検索 → Sheetの構造次第で激重
● UIや同時編集への耐性がない
複数人で同時に使うようなツール(例:予約表、工程管理)は、トリガー競合や入力のバッティングで挙動が安定しません。
これはGASの処理が「スプレッドシートを前提としたイベント駆動」だからであり、設計・運用に大きな制約が生じます。
学び③:「本番化」は慎重に。段階的な移行がベスト
![]()
(上記画像は、右側のサイドバー部分のみをGASで作成しています)
一度GASで作ったツールが便利だと、つい「このまま正式運用にしよう」と思ってしまいがちです。
しかし、そのまま本番運用に乗せると、以下のような問題に直面する可能性があります。
・トリガーが失敗したのに誰も気づかず、データ欠損
・他の人がセルを編集して壊れる
・ファイルサイズが肥大化し、開かなくなる
・作った本人しかメンテできない(属人化)
GASはあくまで「“簡易な自動化・実験ツール”として使い、
本格運用が必要になったら別の基盤(AppSheet、BigQuery連携、クラウドDBなど)への移行を前提に設計」するのが理想だと学びました。
まとめ:GASの位置づけを見誤らないことが大事
GASは確かに便利です。
アイデアをすぐ形にできる、コードが少なくて済む、無料で使える…
けれど、それはあくまで「軽量な開発環境」としての強みです。
GASは“とりあえずやってみる”には最適だけれど、
“これで正式に回す”には不向きなことがある、という現実を今回の学びとして感じました。
今後も業務改善ツールの1つとしてGASを活用していきますが、
“どこまでGASでやるか、どこから別の選択肢にするか”という線引きと判断力こそ、実は一番重要なのかもしれません。

コメント