みなさま、日々お疲れ様です!大窪です!
これまで、AIの基本から、ChatGPTの活用例、個人情報の取り扱い、社内ルールの整備まで、「安全に・正しく使うための知識」をお届けしてきました。
さて、あれから時間が経ち、生成AIを導入する企業は着実に増えています。
ところが最近、現場からこんな声を聞くことが増えました。
「ツールは入れたけど、結局あまり使われていない」
「若手は使いこなしているのに、上司がまったく触らない」
「AIの話をしても、管理職が理解してくれないから話が進まない」
実はこれ、どこか特定の企業だけの話ではありません。
2026年1月に実施された管理職1,008名を対象とした調査(コーレ株式会社)では、7割超が「使いこなせない層による業務支障」を実感しているという結果が出ています。
しかも、使いこなせない層の第1位は――「課長・リーダー職」でした。
今回は、この「AI定着の壁」について、調査データを交えながら考えてみたいと思います。
生成AI、導入は進んでいる。でも…
まず、現状を確認しましょう。
同調査によると、企業で活用されている生成AIツールは以下の通りです。
| ツール | 利用率 |
|---|---|
| ChatGPT | 57.7% |
| Gemini | 39.3% |
| Microsoft Copilot | 30.3% |
活用されている業務も明確です。
| 業務内容 | 割合 |
|---|---|
| 文書作成(企画書・議事録など) | 63.1% |
| 情報収集・要約 | 51.4% |
| アイデア出し・ブレスト | 37.4% |
導入目的の第1位は「業務時間短縮・効率化(66.2%)」。
そして、約7割の企業が「導入はうまくいっている」と回答しています。
…と、ここだけ見ると順調に見えますよね。
ところが、同じ調査の中で、71.3%が「使いこなせない人がいることで業務に支障が出ている」と回答しているのです。
導入はうまくいっている。でも、”全員が使えているわけではない”。
この矛盾こそが、いま多くの企業が直面している「定着の壁」です。
使いこなせないのは誰?~意外な調査結果
では、「使いこなせない人」とは誰なのでしょうか。
調査結果はこうでした。
| 順位 | 使いこなせない層 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 課長・リーダー職 | 29.3% |
| 2位 | 経営層 | 26.8% |
| 3位 | 一般職 | 25.6% |
「上の人ほど使えていない」という結果です。
正直、現場感覚としても「ああ、やっぱりそうか」と思いました。
一般職や若手のほうが、日常業務の中でChatGPTやCopilotなどを自然に取り入れている印象があります。
一方、管理職や経営層は「聞いたことはあるけど、自分で触ったことはない」という方がまだまだ多い。
これは決して、管理職の能力が低いという話ではありません。
立場や業務内容の違いから、”使う機会”が少ないのです。
なぜ管理職ほど使いこなせないのか?
理由はいくつか考えられます。
① 自分で手を動かす機会が少ない
管理職の業務は、判断・承認・調整が中心です。
文書の下書きや情報収集といった「AIが得意な作業」を自分でやる場面が少なく、そもそも「使う必要性を感じにくい」のです。
② 「今のやり方」で回ってしまっている
長年の経験で培った仕事の進め方があり、それで成果も出ている。
わざわざ新しいツールを覚えるモチベーションが生まれにくい、というのは自然なことです。
③ 失敗したくない心理
「変なことを入力して情報漏えいしたらどうしよう」
「間違った使い方をして部下に指摘されたら恥ずかしい」
こうした心理的なハードルは、立場が上になるほど大きくなります。
④ 学ぶ場や相談先がない
若手はSNSや動画で自発的に学べますが、管理職が「ChatGPTの使い方を教えてください」と言える環境は、意外と少ないのが実情です。
「使いこなせない上司」がもたらす3つの影響
「管理職が使えなくても、部下が使えていれば問題ないのでは?」
そう思われるかもしれません。しかし、実際にはこんな影響が出ます。
影響①:部下のAI活用にブレーキがかかる
上司がAIの価値を理解していないと、部下が「AIで下書きしました」と言っても、
「ちゃんと自分で考えたのか?」と否定されることがあります。
これでは、せっかくのツールも使いづらくなります。
影響②:AI活用の判断・推進ができない
「このツールを導入すべきか」
「この業務にAIを使ってよいか」
こうした判断は管理職の役割です。
自分で使ったことがないと、判断の根拠がなく、結果的に「現状維持」を選びがちです。
影響③:チーム内にスキル格差が広がる
使える人と使えない人の差が開くと、業務の進め方やスピードにバラつきが生まれます。
調査でも、7割超がこのスキル差による業務支障を感じていました。
じゃあ、どうすればいいのか?
大がかりな研修や制度改革を提案したいわけではありません。
現場レベルで「今日から始められること」を考えてみます。
まずは「1日1回、触ってみる」
完璧に使いこなす必要はありません。
「今日のメールの下書き、試しにChatGPTに頼んでみよう」
この程度でいいのです。触る回数が増えれば、自然と「使いどころ」が見えてきます。
「部下に教えてもらう」を恥ずかしがらない
AIに関しては、若手のほうが詳しいことも多いです。
「ちょっと教えて」と言える関係性があれば、それ自体がチームの活性化につながります。
小さな成功体験を共有する
「AIに議事録をまとめさせたら10分で終わった」
こういった体験を朝会やチャットでシェアするだけで、周囲のハードルも下がります。
活用が進まない原因を正しく把握する
同調査では、活用が進まない要因として以下が挙げられています。
| 要因 | 割合 |
|---|---|
| セキュリティ懸念 | 33.5% |
| 具体的活用アイデア不足 | 26.0% |
| 情報システム部門の協力不足 | 22.4% |
「使わない」のではなく、「使い方がわからない・使っていいかわからない」だけというケースも多いのです。
ここは、以前の連載でお伝えした「社内ルールの整備」が効いてくるポイントでもあります。
☞参考:実践!社内でAIを使ってみよう~安全な導入と社内ルール
私が現場で感じていること
私自身、さまざまな現場を経験する中で、「ツールを入れたのに定着しない」という場面を何度も見てきました。
業務効率化にしても、DXにしても、AIにしても、最終的にカギを握るのは「人」です。
どれだけ優れたツールを導入しても、使う人が「なぜ使うのか」「どう使えばいいのか」を理解していなければ、定着はしません。
そして、その理解を促す立場にあるのが、まさに管理職です。
管理職自身がAIを「少しでも触ったことがある」状態になるだけで、チーム全体の空気は大きく変わります。
「完璧に使いこなす」必要はない。
「まず触ってみる」「部下の活用を否定しない」「わからなければ聞く」。
それだけで十分です。
おわりに
生成AIの導入率は上がっている。でも、定着率はまだ追いついていない。
その原因が、意外にも「管理職のリテラシー」にあるという調査結果は、多くの現場で実感と一致するのではないでしょうか。
AIは特別な人だけのものではありません。
そして、「使いこなす」ことだけがゴールでもありません。
まずは「自分の業務のどこにAIが使えそうか」を考えてみること。
その第一歩を、立場に関係なく踏み出せる環境をつくることが、今は一番大事なことだと考えています。
参考・引用元:
※本記事のアイキャッチ画像はAI(Google Gemini)で生成したものです。万が一、既存の著作物との類似性など問題がございましたら、お手数ですが[Tel:06-7777-2210]までご連絡ください。速やかに削除等の対応をいたします。

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