SESという業界に身を置く方であれば、誰しも一度は現場のことで悩んだ経験があるのではないでしょうか。
案件に応じて様々な現場に常駐することになるSESではその現場で実際にどのような業務をおこなうのか、どのような人たちと働くことになるのかは、
現場に参画してみないと実際のところはわからないというのが現状です。
働きやすさや職歴として記載可能なスキルを業務内で習得できるかは案件によって大きく変わってくると筆者も感じています。
人によって合う現場・合わない現場があるのは当然のことですし、自分に合った現場に参画することの方が稀だと思います。
残念ながら現場で何かしらの不満を抱えていたとしても、口をふさいでいてはズルズルと長引きしてしまうのが現実です。
この記事を読まれている方も今の現場でそれぞれ不満を抱えており、何とかその状況を変えたいと考えている方と伺えます。
今回はSESで客先に不満があり現場を変えたいと考えている方に対して、実際にSES業界で働く筆者が実体験をもとに現場を抜ける際のアドバイスをご紹介します。
現場を変えたい理由を明確にする
初めになぜ今の現場を変えたいと思っているのか自分の考えを整理し、現状を変えられるよう行動してみましょう。
たとえ今の現場を抜けることができたとしても、次参画した現場が同じような環境では意味がありません。
また自分の考えをまとめ現状を変えるための行動をおこした状態で「現場を変えたい」と言う場合と、そうでない場合では所属会社や担当営業に対しての説得力がまるで違います。
次の現場で同じ失敗をしないため、所属会社や担当営業に「せっかく苦労して獲得した案件なのにわがままだ」とらえられないよう、まずは自分の考えをまとめることから始めてみましょう。
現状の不満を分析する
・タスク量、残業が多い
・スキルUPが見込めない
・人間関係が悪い
・スキル不足で業務についていけない
・そもそも業務内容が自分のやりたいことにマッチしていない
SESの現場に対する不満は上記のような内容がほとんどではないでしょうか。
近頃は”テレワークがない”なども入るかもしれませんね。
上記以外にも理由は人それぞれだと思います。
自分の抱える不満を明確にできたら、それらを改善する行動をとってみましょう。
不満を自分で解消するよう動いてみる
次に現状を変えるための行動に移りましょう。
上述の不満点を例に挙げると以下のようなことが考えられます。
・タスク量、残業が多い → タスク量を減らしてもらうよう現場責任者に話してみる
・スキルUPが見込めない → 現在のタスク+αの仕事をもらえるよう相談する
・人間関係が悪い → 現場内で部署移動ができないか相談する
・スキル不足で業務についていけない → タスク量を減らしてもらう、自分で勉強の時間を作る
・そもそも業務内容が自分のやりたいことにマッチしていない → 現場内で部署移動ができないか相談する
方法は人それぞれですが、まずは現場の責任者などに相談をしてみるといいでしょう。
円滑に現場を抜けるためには?
上述のような環境を自分で変えてみるという努力は必要だと考えています。
しかしながらエンジニア一人の力では限界があるもの現実です。
そこで重要となってくるのが、日頃のコミュニケーションだと筆者は考えます。
ここからは筆者の経験談をもとに、円滑に現場を抜けるにはどのように動くべきかを解説していきます。
現場を抜けることにためらいがあるという方のご参考になればと思います。
まずは担当営業を味方につけるべし
筆者の個人的意見では、自社の担当営業を味方につけることは、円滑に現場を抜けるための必須条件と考えています。
たとえ現場を抜けられたとしても強引に話を進めてしまった結果、自社での自分の立場を危ぶめてしまっては次の案件にも支障を出しかねません。
SES業界で働くエンジニアは普段営業活動をおこなうことはほとんどないと思います。
そのため現場を抜けたいというある種自分の都合で考えてしまいがちですが、他社に対して営業をかけて契約をとってくるという行為はかなりのコストを必要とします。
時間的なコストはもちろん、現場責任者との折り合いや上位会社との今後の関係など精神的コストも相当なものです。
そのため現場を抜ける際に自社の担当営業をないがしろにしてしまっては、今後の自社での立場を危ぶめてしまう恐れがあります。
そうならないためにも、日頃から営業との連携を密にとっておくことをおすすめします。
例えば、日々の現場での業務内容に関する日報を提出するなどもいいでしょう。
営業は日々数字を求められる職業です。
一度契約をとってエンジニアが実際に現場に入ってしまえば、それ以降はなかなか連絡を取ることも少なくなるという人も多いのではないでしょうか。
そこで業務に関することを日々報告していれば、現場での不満点を共有する事ができます。
たとえ担当営業がその内容を確認していなかったとしても、こちらが報告をしていたという事実があるので、現場を抜けることに対する一定の正当性を持たせることも可能です。
またSESという職種では自社と現場との間に他の上位会社が関わっている方も多いと思います。
上位会社との話は基本的に自社の担当営業がおこなうことになるため、自分がどのような業務を日々おこなっているのか、どのような不満があって現場を抜けたいと思っているのかを共有しておくことで、担当営業も話を進めやすくなり結果的に現場を抜けることにもつながるでしょう。
上位会社との認識をすり合わせる
次に上位会社との認識合わせについてお話します。
こちらも現場を円滑に抜ける上で重要ですので、ぜひご参考にしてください。
SES業界で仕事をしていれば、現場と自社との間に案件を紹介してくれた別の会社が関わっているという方も少なくないのではないでしょうか。
そういった方が現場を抜ける際には、上位会社との認識合わせが大切となってきます。
では何に関しての認識を合わせるのかというと、一言でいえば現場を抜ける理由です。
上位会社が関わっている場合、現場を抜ける上では上位会社の担当営業からも現場に連絡を入れる必要があります。
例えば、あなたが現場の責任者だった時のことを想像してみてください。
現場を抜けたいという旨の話を受けた際に、実際に現場に参画しているエンジニアと上位会社の営業の話がまるで違っていれば不信感を覚えるのは当然のことです。
筆者もこのような認識違いが原因でトラブルになり、現場を抜けたいと伝えてから実際に現場を抜けるまでの期間になんとも気まずい時間を過ごした経験があります。
このようなことは自社の担当営業から上位会社に話が伝わったうえで、
エンジニア自身と上位会社の営業との連絡を取るだけで簡単に回避できます。
またここで筆者がお伝えしておきたいことは上位会社の営業を信用しすぎてはならないということです。
上位会社の営業の立場で考えると現場責任者というのはクライアント、つまりは自分の営業成績に直結する大切なお客様です。
そのためエンジニアが現場を抜ける際にもできるだけ穏便にことを済ませようとしますが、もし険悪な雰囲気になってしまった場合は今後の関係性を優先し、現場で実際に仕事をしているエンジニアやその所属会社を悪者にすることもあります。
実際に筆者にもその経験があります。
所属会社の担当営業から上位会社に連絡をした後、その後上位会社の営業と認識合わせをし、まずは上位会社の営業から現場責任者へ連絡を入れるという流れになったのですが、後に現場責任者と実際に現場を抜けたいという旨の話しをした際に、聞いていた話と全然違うと言われたのです。
これは後々になってわかったことですが、上位会社の伝え方がよくなかったようで現場責任者を怒らせてしまい、最終的に筆者と筆者の所属会社を悪者にしたという経緯でした。
上位会社の営業にとっては筆者のようなエンジニアが現場に参画しているうちは、自分の数字を挙げてくれるある種お客様です。
しかし現場を抜けるとなると話が変わり、あくまでも他社のエンジニアとして扱われ、いざという時は今後の現場責任者との関係性を優先してきます。
もちろん上位会社の営業が全てそうではないでしょうが、このような営業がいることもまた事実です。
現場に参画しているうちに丁寧に対応をしてもらったからと言って、上位会社の営業を信用しすぎるのは禁物です。
このような事態を回避するためにも、日頃から現責任者や現場の同僚とコミュニケーションをとり良好な関係性を築いておくといいでしょう。
幸い筆者の場合は現場責任者との関係性もあり円滑に現場を抜けることができました。
このような状況を避けるためにもまずは上位会社の営業からではなく自分から現場責任者に話してみることをおすすめします。
現場責任者と実際に仕事をしているのは筆者のようなエンジニアですので、必然的に上位会社の営業よりも多くの時間を現場責任者と過ごしており、ある程度の関係性は築けていることと思います。
そのためまず自分から話したうえで、こういった内容で話をしましたと上位会社の営業に伝え、その後に話を通してもらう方が円滑にことが進むように感じています。
仕事といってもやはり人間の世界ですので、普段からのコミュニケーションが重要となってくるでしょう。
現場を抜ける意思を伝えるベストな時期とは?
次に現場を抜ける意思はどのタイミングで伝えるべきかについてお話します。
これについてはいわゆる区切りの時期に伝えることがベストでしょう。
契約の区切りは人によって様々かとは思いますが、SES業界で働く多くの方は3ヶ月区切りというのが多いのではないでしょうか。
この場合は契約を更新したタイミング、つまり3ヶ月ほど前に現場責任者に話を通すと良いでしょう。
現場を抜けるとプロジェクトに欠員が出るわけですから、代わりの人員を探す期間や業務の引継ぎが必要になります。
もちろん現場を抜ける意思を伝えるのは早ければ早いほどいいですが、遅くとも2ヶ月前には意思表示をしておくとトラブルが発生しにくいです。
また自分自身にとっても次の案件を探すまでの期間が必要となるので、なるべく早めの方が双方にとってメリットがあると言えるでしょう。
先ほどは契約の区切りの時期とお話しましたが、現場の決算期などに合わせるのもいいでしょう。
これは4月と10月のタイミングが一般的です。
多くの法人が4月を年度の始めとしており、10月には1年の半期を迎えます。
そのため3月いっぱい、もしくは9月いっぱいで現場を抜ける旨を伝えるのもいいでしょう。
このタイミングで現場を抜ける事のメリットとしては、次の案件が決まりやすいという点にあります。
前述のように4月を年度始めとしている法人が多いですので、そのタイミングでプロジェクトがスタートするという現場も多いです。
このことから自社の担当営業が次の案件を探しやすいのです。
エンジニアにとっても営業にとっても、4月や10月のタイミングで現場を変更する事はメリットがあると言えるでしょう。
他にも現場によって様々なタイミングがあるかと思いますので、自社の担当営業と連携し最適な時期に現場を変更するために、また希望する内容の案件に参画するためにもやはりコミュニケーションが重要となるでしょう。
まとめ
今回はSES業界で働くエンジニアが、円滑に現場を抜けるためには?というテーマでお話させていただきました。
冒頭でも述べたように、誰しもひとつは自身が参画する現場に対して何かしらの不満を抱えているのではないでしょうか。
理由は様々かと思いますが、円滑に現場を抜けるための手段として今回筆者が伝えたいことはコミュニケーションの重要性です。
SESでは現場業務が主な仕事となるので、コミュニケーションなしに自分勝手な行動をしてしまっては様々な所に迷惑をかけてしまいます。
本記事をお読みくださっている方の中には、人とのコミュニケーションが苦手という方もいるかもしれません。
そういった方にとってはこれまで述べてきたような、現場や営業との連携は少しハードルが高いかもしれません。
そこでそういった方におすすめしたいのが、日々の現場業務を日報として自社の営業担当に報告することです。
この方法であればテキストベースでのやり取りも可能で、自身の状況を共有することにもなりそこからコミュニケーションが生まれることも考えられます。
現場を移動したいと思っているが、どのようにしていいかわからないと悩んでいる方には、
今回ご紹介した内容をご参考にしていただければと思います。
本記事が現場に関して悩む方の一助になれば幸いです。
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